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病気と健康の関係について、私が気が付いたことの中に「タイムラグ理論」というものがあります。簡単に説明すると、「原因と結果の法則」に時間軸を当てはめた考え方です。つまり、良いことをしても、悪いことをしても、その結果が現れるまでには一定の時間がかかる、ということです。
たとえば、私の患者さんにAさんという方がいらっしゃいました。この方は、8月に「手首が痛い」「体がこわばる」「関節が痛い」という症状が起きて病院を受診したところ、医師から「リウマチですよ」と診断されたそうです。
病気になったとき、人は誰しも「原因は何だろう?」と考えます。その時のAさんも例外ではありませんでした。「私は何かしたかしら?」とあれこれ思いを巡らせたのです。
しかし、1週間から2週間前のことを考えても、病気になった原因は絶対にわかりません。なぜなら、「原因」となることがあってから「結果」が現れるまでには、少なくとも3か月から半年ほどかかるのが一般的だからです。
Aさんのケースの場合、原因を考えるなら、3か月から半年ほど前まで、さかのぼって考えてみる必要があります。
私が詳しく問診したところ、あることが「原因」として浮上してきました。それは症状が現れる4ヵ月ほど前に始まった夫婦喧嘩です。ただ、この喧嘩は病院を受診する1ヵ月前には解決していたと言います。
整理すると、4月に夫婦喧嘩が勃発、3ヵ月間険悪な状態が続いたのが、7月に収束。そして、8月にリウマチが発症しました。
Aさんは、もともと体に「リウマチ因子」を持っていたかもしれません。しかし、これまでは症状として現れませんでした。病気の引き金となったのは、極度のストレス状態が続いたせい、と考えるのが妥当です。つまり、夫婦喧嘩がリウマチの症状を引き起こした原因である可能性がきわめて高いと考えられます。
他にも、転職をして環境が変わり、ようやく職場に慣れたと思った3ヵ月後から半年後に発症したというケースもあります。あるいは、健康のために食習慣を変えた3ヵ月から4ヵ月後に、発症したケースもありました。
このように、病気の原因は「直近」のことにないケースが多いのです。「原因」と「結果」の間には、タイムラグがあると認識しておくと、今のあなたの病気がなぜ起きたのか、なぜ悪化したのか、理解しやすくなるでしょう。
タイムラグ理論は、治療にかかる時間にも当てはまります。つまり、冒頭のAさんのリウマチのケースですと、「原因」となる出来事から4ヵ月かけて「症状(結果)」が現れたので、同じくおよそ4ヵ月後に劇的に症状が改善する可能性が高いということです。
この「発症のタイムラグ理論」を知っておくと、病気の予防にも活用できますし、発症後もやみくもに不安にならずに、治療に前向きに取り組んでいくことができるはずです。
【わかる!ポイント解説】 「なぜ病気になったのか」を理解するには
◎「病気になる原因」は3ヵ月~半年前にまで遡らないとわからない
◎悪いこと(病気の原因)をしても、良いこと(治療)をしても、その結果が現れるまでには一定の時間がかかる
中村式温熱療法は「温熱」「栄養」「メンタル」という、3つの土台のバランスを整えることで、免疫力・快復力を最大限に高め、健康になる温熱療法です。
(「東洋三理療法」といいます。)
中村 司
(財)日本東洋医学財団 理事長
中村式温熱療法 提唱者
祖母が27年間リウマチで寝たきり状態だったため、
幼い頃より難病の消滅を悲願とし、治療師の道に進む。
その克服法を完成に近づける途上、自分自身に激しい
リウマチ症状が現れたが、約3週間で克服した経験をもつ。
治った患者さんの共通点を分析した「東洋三理療法」、
遠赤外線でいつでも体を温められる 「中村式温熱」、患者さんと共同開発した
「KIK療法」など、独自の視点から創案した治療法も多い。
Copyright © 2015 中村温熱療法